IG Photo Gallery企画展
石倉麻夕展「Chronostasis[クロノスタシス]」

IG Photo Galleryでは2025年6月17日(火)より、石倉麻夕展「Chronostasis[クロノスタシス]」を開催いたします。
石倉麻夕のIG Photo Galleryでの個展は、昨年の3月に開かれた「よりみち」に続く2回目となります。
「よりみち」はデジタルカメラとピンホールを組み合わせ、昭和の面影を残す居酒屋を異化した作品でした。写真がシャッターを押した瞬間の記録であるだけでなく、いつかどこかへの扉を開くものであるということを印象づける作品でした。
今回の作品では石倉が長く使い続けてきた銀塩フィルム、銀塩印画紙という伝統的な素材によって、「よりみち」とは別のやり方で、写真の中に流れる「時間」を表現しています。
被写体は動物。撮影は動物園や博物館で行われました。石倉は人間とは異なる時間感覚の中に生きる動物たちを被写体にすることで、普遍的なものさしとされている「時間」への疑問を投げかけます。
また、動物園や博物館が目的とする、展示された生き物に対するまなざしにも注目します。
「先史時代の壁画を見ても、動物というもう一つの存在を確認し、写し止めることを根源的に行なっていた」(作家ステートメント)と述べる石倉にとって、動物という被写体は、時と場所を越えて、私たち人類が共通に持っている原初の記憶にアクセスしようとする試みでもあるのでしょう。
石倉の作品には壁画時代からの人間の動物へのまなざしと、近代以降の「動物園」「博物館」という人間中心の知的な営みとが交錯し、「見ること」の意味を問いかけています。
また、タイトルの「Chronostasis」とはギリシャ語に由来する「時間の静止」を意味し、時計を一瞥した時に、秒針が止まっているように見える現象でもあります。
人間が写真術を発明したことにより、概念としてしか存在しなかった「時間の静止」が具体的なイメージとして手元に残ることになりました。人間が時間を止めたいという願望を持つ一方で、そのような概念を無視してただ時の流れの中に悠然と存在する動物たち。石倉がこの作品でアプローチしているのは、「時間の静止」という概念を写真というメディアを使って見直す試みでもあるのです。
なお、6月21日(土)18:00よりギャラリーでトークセッションをライブ配信いたします。そちらもぜひ、ご視聴ください。
** 安心してご覧いただくため、空気清浄機、手指の消毒薬の設置などの感染対策を行います。
■作家プロフィール
石倉麻夕 Ishikura Mayu
2000年東京造形大学比較造形専攻卒業。場と刻の固有の関係性を求め、各地方の動植物園などで撮影を続ける。主な個展に「蛹の時間」(ギャラリーユイット、東京、2004年)、「scenery」(Space Kobo&Tomo、東京、2007年)、「闇夜から」(ヒルトピア アートスクエア、東京、2019年)、「Primary Garden」(山猫軒、埼玉、2020年)ほか。パブリックアートとして、東京都健康長寿医療センター(板橋区)、フェアフィールド バイ マリオット系列ホテル(国内15ヶ所)に作品が常設展示されている。京都芸術大学通信教育部写真コース非常勤講師、東京綜合写真専門学校非常勤講師。
■会期
2025年6月17日(火)~7月5日(土)
時間:11:00~18:30
休廊:日曜日、月曜日
■トークセッション(無観客)
石倉麻夕×タカザワケンジ(写真評論家・IG Photo Galleryディレクター)
6月21日18:00よりライブ配信予定
You Tubeにて、配信いたします。
チャンネル名:IG Photo Gallery